いよいよ少佐の大演説。
おなじく戦いを前にして演説をぶったガンダム・ファーストのギレンと比較すると、より一層分かりやすいかと思いますが、
「諸君私は戦争が好きだ」で始まる少佐のこの演説は、ギレンの演説よりもさらに具体的かつ苛烈。
なにせ、ギレンは「正義は我らにあり」として、戦意を鼓舞するのですが、少佐の場合は「私も君たちも求めるもの=戦争だぁー!!」ですから純粋です。
「殲滅戦 電撃戦 打撃戦…」とまぁ、さすが戦争狂の少佐だけあって、冒頭からお口なめらかなことこの上なしです。
これはもう「声に出して読みたい日本語黒Ver.」じゃないかと!!
ただ使われている言葉が、私にはちょっと難しかったので、ウィキなどのお世話になりました。以下はそのメモです。(箇条書きでスミマセン)
「ティーゲル」というのはかの有名なティーガーTiger戦車のこと。
余談ですが、ティーガー戦車については専門書がたくさんあるかと思いますが、たまたま私の手元にあったのは宮崎駿の『妄想ノート』と『雑想ノート』。
宮崎氏のマニアっぷりも素人の私はただただ目を見張るばかりですが、この2冊は写真とともにイラスト・コミックが豊富で眺めているだけでたのしいのでおすすめ。(豚が虎を乗り回してます…笑)
それから「MG」は機関銃「machine gun, 独 Maschinengewehr」のこと。
「シュマイザー」はヒューゴ・シュマイザーHugo Schmeisserが開発したドイツ軍の代表的短機関銃MP40のこと。
「ドーラ」とは80㎝列車砲の2台目のこと(1台目はグスタフ)
列車砲というのは要するに、巨砲を列車に乗せて、線路を使って移動しぶっぱなそうというもの。発想としては大鑑巨砲主義の陸上版といったところでしょうか…
しかしながら威力はすさまじいものの、線路の規格がまちまちのヨーロッパでは他国に運び込む度に分解が必要になる上、レールの敷設、主砲の組み立てに数週間を要し、さらに制空権を確保していないと空からの格好の標的になるという、威力は凄いがまるで使い勝手の悪い兵器。
それから「三千世界の鴉を殺す」は、もちろん高杉晋作の作と言われてる都々逸から。少佐、ナチテイストがお気に入りかと思いきや、意外な面も見せてくれます(笑)
なお、本作戦名、第二次ゼーレヴェー作戦は大戦中のドイツのイギリス本土上陸作戦の名を引き継いだもの。
さらに乗り込む飛行船もGRAF ZEPPELIN ⅢやらHindenburg Ⅱと、実在した飛行船の名を引き継いだものだったりと、とにかく第二次大戦の延長上に今回の作戦が位置づけられていることがアピールされています。
ただし、旗艦デクス・ウキス・マキーネについては、同名の飛行船が実在するのかよく分かりませんでした。おそらくはラテン語のDeus ex machina(機械仕掛けの神)から来ているとおもわれます。(詳細はウィキのデウス・エクス・マキナの項参照)
そして最後、少佐の「征くぞ諸君」P198に対し、アーカードが少佐と同じポーズで「来い」P200と応じたところで、第4巻終幕。
とにかくこの演説の中に登場する兵器、そして実際にミレニアムのメンバーが使用する武器も、そもそもツェッペリンに乗ってくるところからして大戦時から、時が止まってしまったというか、大戦は終わっていないぞと言っているかのようです。
このあたり、ミリオタの方には、美味しいんだろうなぁ…