(つづきのつづき)
錬金術でいうところの水銀には「卑俗な水銀」と、「哲学的水銀」という区分があるそうで、天然の水銀が卑俗で、銀から抽出したのが哲学的なんだとか。
もうこうなると、チンプンカンプンですが、とにかく大昔から水銀は常温で液体という特殊な性質と、アマルガム性から、人々に注目されていたようです。
別名argentum vivum(生きている銀)。
アマルガムというのは、水銀と他の金属との合金の総称。
鉄やマンガンなどいくつかの金属をのぞいて、多くの金属と合金を作りやすいというのが水銀の特徴。
(古代から、金メッキにこの性質が利用されてきたことでも有名ですよね。)
拘束制御術式零号開放により発動した死の河は、吸血されることでアーカードと一種のアマルガムのような状態にあった魂を開放しているのでは…というのが私の勝手な解釈(笑)
それにしても食いも食ったり、あんなにたくさん…それを一気にドドーッと開放…その破壊力たるや絶大!!
もうほとんど反則ですよ。
インテグラの認証なくしては開放できないのもうなずけます。
ところで開放の際、インテグラは「帰還を果たせ」と命じます。
ドドーッと行ったっきりの鉄砲玉では困るわけです。
まして、敵を殲滅した後に、こっちに向かってこられたんじゃ、目も当てられません。
そこで話をもどして、アーカードの棺の銘文
The bird of Hermes is my name,eating my wings to make me tame.
(私はヘルメスの鳥、私は自らの羽根を喰らい、飼い慣らされる。)
インテグラの認証を受けたのちに、アーカード自身が「謳う」ことで、死の河が発動するわけですが、この言葉が、発動の鍵であると同時に、主(あるじ)への帰還の誓いの言葉でもあるといえます。
いいかえると、 この一節は、単にアーカードがヘルシング機関に従属しているという立場を象徴しているにとどまらず、帰還の誓いなしには死の河は流れないということ。
(さすが拘束制御術式、しっかりできとる…)
そしてさらにこれが、最終話の「復活の方法」の伏線になっている…
わたしの無茶な深読みを割り引いても、
ん〜♪やっぱり、ぶらぼーヒラコー!!(笑)
(ブラム・ストーカー版の第2章に、「私は長いこと主人だった。これからも主人でいたいのだーーー少なくともほかの誰かを主人としたくはないのだ。」というドラキュラ伯爵のセリフがあるのですが、
100年でこの変わりよう…苦笑)
というわけで、以上くどいけど「まとめ」。
アーカードの棺の銘文「 The bird of Hermes is my name,eating my wings to make me tame.」は、本来、水銀の特性について述べた錬金術のテキスト。これをHELLSINGでは、「わたしは多くの魂を喰らいこの身に宿す冥界への導き手。主(あるじ)への忠誠を誓い、たとえ解き放たれようとも、 必ず主の元へと舞い戻る」という内容に読み替えているものである。
それにしても拘束制御術式…ヴァン・ヘルシングが施したんだろうか??
誰が施したにしても、スゴすぎるます…汗