(おとといからの続き)
「そもそもヘルメスの鳥の正体は何か…?」考えるために、
ヘルメス・トリスメギストスにとりこまれている「トト(トート)」と「ヘルメス(メルクリウス)」について少々。
実はヘルメス・トリスメギストスの成立をもう少し細かく見ると、まずヘレニズム期に神様のヘルメスと、トト(トート)が合体して「ヘルメス・トート」という合成神が成立。このヘルメス・トートが錬金術師ヘルメスと合体したという経緯をたどるんだそうです。
このトト(トート)というのは、エジプトの神様で頭がイビス(ibis トキ)体がヒヒという姿で、知識や文字を司る、冥府の書記という設定。
ここで言うトキは具体的にはアフリカクロトキをさします。(ウィキ「アフリカクロトキ」の項参照。)
このことから、おそらくは「ヘルメスの鳥」の元々のモデルはこのアフリカクロトキなのかもしれません。
次にヘルメスですが、これはギリシャ神話の神様。ローマ神話のメルクリウスがこれに相当するのですが、コチラは神様の伝令、ひと言で言うと、神様のパシリ(笑)であり、また死者の魂を冥界(ハデス)ヘ導く神でもあり、そして水銀や水星の象徴になっていくわけです。(メルクリウス=マーキュリー)
『オデュッセイア』の最終章においてヘルメスの冥界へと降りていくくだりでは、ヘルメスに呼び出された死者の霊魂がコウモリに例えられてて、HELLSINGスキーとしてはちょっとおいしいです(笑)
ここまでみてくると、「ヘルメスの鳥」のモデルはアフリカクロトキであり、その役割は冥界への導き手であり、水銀の象徴ということになるのではないでしょうか。
そして水銀は錬金術において硫黄とならぶ最重要物質であり、揮発性、不揮発性の性質を兼ね備えていうことからも、The bird of Hermes is my name,eating my wings to make me tame.という一節は、本来は水銀の性質について述べたくだりじゃないかなぁ…というのが今回の結論。
そして、HELLSINGにおけるこの一節の引用は、水銀の性質について単に述べているのではなくて、神様ヘルメス(冥界への導き手、水銀の象徴)を踏まえているのではないかなぁというのが、今回の深読みです。
(そういえばウィキによると、ヘルメスはアルゴス(百目の巨人)暗殺してるんですよね。拘束制御術式1〜3号解放状態のアーカードとかぶるなぁ…)
「水銀の象徴」をどうして、ここではずさなかったのかは、また明日。
深読みはつづくよ、どこまでも〜♪