(昨日の続き)
錬金術においてヘルメスのXXXXって実はたくさん登場します。
ヘルメスの鳥はもとより、ヘルメスの杖、ヘルメスの卵などなど…
中世まではいわゆる「化学」も「ヘルメスの化学」とよばれていたそうです。
「それじゃ、もともと錬金術で言うヘルメスってなに?」ってことになるわけですが、これが賢者の石まで作ちゃったと言われ、エメラルドタブレットで有名な伝説の錬金術師ヘルメスさんのこと。
で、このヘルメスさんに4世紀頃でしょうか、ギリシャ神話のヘルメス(ローマ神話ではメルクリウス)やらエジプト神話のトト神やらが合体して、3倍えらくなったそうで「ヘルメス・トリスメギストス(3倍偉大なヘルメス)」に格上げ(驚!!)
あくまで伝説上の人物なのですが、「ヘルメス文書」と呼ばれるものすごい数の著作が残ってます。
たぶんいろんな人がかいたものをひとくくりにしたのでしょうが、これらが15世紀半ばにラテン語に翻訳されたことがきっかけとなって、ヘルメス思想が一気に普及、地中海世界に置ける錬金術の花が大きく開くわけです。
それでは、話をもとにもどして、「ヘルメスの鳥」とは…
ヘルメスさんが飼っていた鳥でも、ヘルメスさんが3倍偉くなっただけでは飽き足らず鳥と合体!!というわけでもないようです。
先述のリープリー・スクロールに描かれているのは人頭の鳥ですが、実はヘルメスの鳥は「 The bird of Hermes is〜」の文言以外のところでも、しばしば登場する図像。
(ぱっとみ、なんだかよく分からない普通の鳥だったりします。)
鳥そのものが、錬金術の世界では飛んでいる状態は揮発性(分離)、下に降りている状態は不揮発性(固定・結合)を象徴するんだそうです。
つまりThe bird of Hermes is my name,eating my wings to make me tame.
とは、ヘルメスの鳥が象徴するものの、揮発性をうばい不揮発性の物質に変化するということを示しているというわけです。
それでは、ここでいう「ヘルメスの鳥」の正体は…?
(つづく)…笑