昨日はドラキュラ伯爵イギリス上陸の場面の日付から、ブラムストーカー版の年代設定を1881年、1887年、1892年、1898年までしぼりこみました。
さらに手がかりはないかと、ページをめくってみると…
第二章に「コダック」発見!!
アメリカのコダック社が定焦点ボックスカメラにロールフィルムを入れて売り出した元祖「写ル・です」のようなシロモノ。
撮影したら、カメラごと工場に送るとプリントと、新しいフィルムをセットしたカメラが返ってくるというサービスだったそうなのです。(文献注第二章22)
このサービス開始が1888年。
となると、必然的に舞台は1892年ないしは1898年に絞られてきます。
そこでもう一押し、ためしに月齢を見てみることにしました。(*)
サンプルは第8章ミナの親友ルーシーがドラキュラに吸われる8月10〜11日深夜の場面。
「明るい満月の晩でした」という記述とそれぞれの月齢を照らし合わせてみると…1892 年は月齢18前後と、満月とまではいきませんが、かなりまるかったらしいのですが、1898年の同じころは23前後で満月どころか半月より細いくらいの月だったようです。
ちなみに1893年だとほぼ新月。大きな矛盾が生じてしまいます。
(これらの傾向は第3章「ジョナサンあやうくチューされそうになる」の場面でも同様です)
というわけで、ドラキュラ伯爵イギリス上陸の日付(8月8日月曜日)と、コダックの存在、そして月齢を考えると、ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』の年代設定は創作ノートに基づく「1893年説」よりも「1892年」とするほうが、妥当なのではないかというのが、私の結論です。
でも「はたしてそれだけなのかな??」ということで、もう少しこのネタはつづきます(笑)
*暦・月齢に関しては「こよみのページ」様を利用させていただきました。